占星術の研究を続けて「術」として極めたい

占星術師 SUGARさん

━━━「そもそも占星術とはどのようなものなのですか?
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基本的には、生年月日と生まれた時間をもとに太陽系の惑星の配置図を作って、性格や人生、傾向や推移などについて読み解いていきます。昔は毎日の惑星の位置が記載された天文歴を使って一枚一枚手計算で図(ホロスコープ)を描いていたんですが、今はネットで無料で作れたり、PCのソフトもあるので便利ですよ(笑)。

  • よく雑誌に星座占いが載っていますが、あれは太陽系内の惑星のうち太陽の位置だけで占うもので、占星術を単純化したものという風にも言えますね。ホロスコープを読むのってかなり複雑な営みなんですが、大切にしているのはホロスコープだけを見て占わないということです。占う相手が目の前にいる場合は、その人の雰囲気や立ち居振る舞いをきちんと観察したり、どういう人で何をしてきたのかといった情報も知りえる限りきちんと踏まえていく必要があります。図だけ見てすべてをわかったようなつもりになるのは危険ですからね。

SUGARさんが占星術に興味を持つようになったきっかけを教えてください。

―高校1年生の時に、占星術研究家の鏡リュウジさんの本を古本屋で見つけて読んだことです。その本では、ユング心理学と占星術を統合させようという試みがされていて、グッと惹かれました。その1年前、中学3年生の時に国語の先生がユング心理学を通して『100万回生きたねこ』という絵本を読みといてみようという授業をしたのがきっかけで、ユング心理学の本は何冊か入門書を読んでいたので、鏡さんの本を見てすぐに面白そうだなと思えたんです。

それから占星術の世界にはまっていった?
はい。ユング心理学と占星術の組み合わせで内面の心理を読み解いていく占いは奥が深くて、一気にその世界に引き込まれました。高校時代、大学時代はいろいろと占星術に関する著書や訳書を読む傍ら、自分が興味を持った偉人、例えばゴッホなど偏屈そうで個性的な人たちのホロスコープを作って自分なりに解釈して、評伝や自伝で答え合わせをしていました。たまに、家族や友人たちを占ったりもしていましたね。

_R5A3258.JPGインタビューの様子

―本格的に占星術で占いをするようになったのはいつからですか?

  • 大学を卒業後、ITベンチャーに就職して法人営業をやっていたんですが、その時によくクライアントを占っていました(笑)。ベンチャー企業の経営者に今後のビジョンを聞くというインタビューのような仕事もしていたのですが、新卒社員の僕にはビジネスの引き出しが少なくて、深いところまで話を聞き出せなかったんです。それで、どうしようか悩んでいた時に、これまで勉強してきた占いを使おうと。実際、「占いの観点から見るとこうなんですよね」という話をしてみると、食いついてくれる経営者が意外に多かった。

―営業先で占いをするとなると、プレッシャーもあったのでは?
    ベンチャーの経営者は、最後に信じるのは直感というタイプの人が多いんです。そのおかげか、思った以上に反応が良くて、次第にプライベートで飲みに行こうとか、お金を出すから文章にまとめてよ、と声をかけられることも増えていきました。ただ、占いのお客さんである以前に大事な得意先ですから、占いを外すわけにはいかないので、本当に必死でしたね。例えば占いの結果に対して「全然違う、寒いよお前」と言われたこともありました。それが悔しくて、自分でロジックを作って検証することを繰り返していました。“占い営業”ではかなり鍛えられましたね。

―占い師として独立を決意した理由は?

  • _R5A3380.JPG阪神大震災で被災した経営者に話を聞いた時、「震災が起きて癒された」と言っていたんです。その方は十分に事業で成功していたんですが、成功すればするほど、逆にもっと稼がなきゃいけない、売り上げを伸ばさなきゃいけないと息苦しくなっていったそうで、震災で自分が生きていた社会そのものが壊れて、それを包む世界の大きさのようなものを感じたのだそうです。当時、仕事がすごく忙しくて余裕がなかったので、この言葉を聞いて自分の生き方についても考えるようになりました。ちょうど同じ年に占い師ユニットを作って一緒に占いのビジネスをやろうという仲間ができたのと、リーマンショックが起こったり父が亡くなったりと、色々なことが重なって2008年の年末に会社を辞めました。

―2009年に独立後はどのような活動していたんですか?

  • 占いをもっとクリエイティブに見せようということで4人の占い師、3人のクリエイターで男性占い師ユニットを組んで、そのメンバーとして活動していました。イベントに出演したり、メディアで話したり記事を書いたりする一方、渋谷にサロンを作ってお客さんを直接占うこともしていました。その後、2012年からは個人としての活動をメインにしています。単純に占星術を通して人間について考えるのが好きで、自分なりに研究を続けて、まず「術」として極めたいと思うようになったので、最近は講師など自分の研究の成果を伝えるような仕事が増えていますね。。

―占い師としてどんな手応えを感じていますか?

  • 特に東日本大震災を機に、それまでの戦後の日本人、ずっと「お上」や「常識」に預けっぱなしにしてきた政治や経済、人生設計、生きがいの問題などが、いよいよこれまで通りの方法論では立ち行かなくなってきている中で、自分の人生をより真剣に考える一つのきっかけとして占いにくる人が増えています。そういう人たちが持つ、心療内科や精神科に行くほどではないけれど、ひとりで抱え込むには荷が重く、家族や友人に相談しても何かしっくりこないという悩みや想いの受け皿になっている、必要とされているという実感はありますね。

―シュガーさんにとって占星術の魅力とは?
   占星術は太古の時代からある人間の営みのひとつですし、批判はありますが現代でもしっかりと残っている不思議な存在ですよね。占いは当たらなければ意味がないし、ハッとさせられない占いなんて何の価値もないと思いますが、正直に言ってなぜ占いが当たるのか、僕にもはっきりとはわからない。ただ、突き詰めていけばその先に何かがありそうだな、という手応えがあって、そこに惹かれています。講座では、占星術の理論や手法をお伝えするだけでなく、歴史の裏側や、占星術的な考え方の系譜などについても触れていきたいと思っています。